天文台からのコメント:まだまだ寒い日もありますが、桜のつぼみが膨らむ季節になってきました。春の訪れを星空からも感じることができます。冬の星座が南から西の空に動き、東の空から春の星座が上ってきます。しし座は斜め上に勢いよく駆けているように見えます。ししの大鎌(おおがま)を頼りにしし座を探してみてください。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
3月の星空案内
2025年3月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ
この時期の星空は動物の星座が多いですね。イヌ、ウシ、ウサギ、クマ、ライオン、キリン、ヒツジ、ヤマネコ…。まるで動物園です。皆さんが好きな生き物の星座は見つかりましたか?
全部で88個ある星座のうち、41個が生き物の星座です*。それだけあれば、好きな動物の星座もきっと見つけられそうです。もしも、今月の星空で見つからなかったら、別の季節にまた探してみましょう。それでも見つからなかったら、自分で見つけた星をつないで、自分だけの星座を考えてみましょう!
*神話に登場する伝説・空想の生き物を含みます。ちなみに、残り47個の星座は、人間や神様の星座が15個、物や道具の星座が30個、山と川の星座がそれぞれ1個ずつです。(浜松科学館天文スタッフ調べ)
いっかくじゅう座
星座に物語がある場合、その由来は紀元前までさかのぼるものが多いのですが、いっかくじゅう座は比較的新しく、ケプラーの娘婿バルチウスが設定した新星座です。しかし、もっとずっと古くペルシアの天球儀などにもその姿が描かれているといわれています。また1690年に刊行されたヘベリウスの星図に登場するのが最初だともいわれます。いずれにしても、物語はありません。「いっかくじゅう」は漢字で『一角獣』と書き表します。姿は馬のようで、額から一本の角が突き出ているという想像上の生き物ユニコーンです。一角獣を手に入れると大きな幸運が舞い込んでくると信じられ、実際に探し回った人がいたともいわれます。もちろん、想像上の動物なので捕まえた人はいません。
さて、いっかくじゅう座は冬の天の川の中にあります。銀河の星々がたくさん集まっており、双眼鏡で見ると、たくさんの小さな散開星団が視界に飛びこんできて楽しませてくれます。注目は通称「バラ星雲」です。図鑑にもよく登場する天体で、写真であれば赤いバラが咲いているかのようにガスが広がっている様子がわかります。残念ながら市街地では望遠鏡を使ってもガスを見るのは難しいです。写真ならではの天体と言えるでしょう。

一方で、いっかくじゅう座β星は望遠鏡でも楽しめる三重星です。三つの星が寄り添っている姿はきれいです。天王星を発見したハーシェルという天文学者は、このβ星を「天上で最も美しいもの」と言ったそうです。見てみたい方は天文台の観望会へぜひお越しください!
<参考> 全天星座百科(藤井旭;河出書房新社)
星のまたたき
今月の空はとても豪華で、なんと10個も一等星を見つけられます。一等星は全部で21個しかないので、およそ半分が見えることになります。これらの一等星は「恒星」という種類の星です。そんな一等星をよく見てみると、明るくなったり暗くなったりして見えます。いわゆる「星のまたたき」です。星の光は広い宇宙空間をまっすぐに進んで地球に届きます。地球のまわりにある大気を通るとき、風のような空気の動きによって光の通り道は曲がったり、散らばったりします。その結果、私たちの目に届く星の光の量がつぎつぎに変わっていくので、星がまたたいて見えるのです。特に、地平線から近い、空の低いところに見える星は、空気を通り抜けてくる距離が長くなるので、またたきが激しくなります。今月だと、昇ってきたばかりのスピカやアークトゥルス、沈む前のアルデバラン、リゲル、シリウスなどがよくまたたきそうです。

激しくまたたく星を見ていると、色が重なったように見えることがあります。青、白、赤…いろんな色でキラキラして、遠くを飛んでいる飛行機が光っているのかと間違えてしまいそう。白い星の光は様々な色の光が合わさってできています。そして光の色によって、通り道の曲がり方や散らばり方が変わるので、色が重なったように見えます。プリズムと同じ仕組みですね。

そういえば、今月は火星、木星も一等星と同じくらい明るく輝いています。火星と木星は「惑星」という種類の星です。火星や木星を見てみると、一等星とは違ってまたたいていないみたいです。キラキラしないで、じーっと同じくらいの明るさで光っています。「恒星」はまたたくのに、「惑星」はまたたかない。どうしてそんなことが起きるのでしょうか?…ヒントは、地球からその星までの距離です。
浜松科学館で投映中の番組
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プラネタリウム
「まわる星と、かわる季節」 -
キッズプラネタリウム
「きらきら☆こんやのおほしさま」 -
大型映像
「すみっコぐらし ひろい宇宙とオーロラのひかり」 -
プラネタリウム
「星空マルシェ」 -
【月1回・大人限定】
夜の科学館 特別投映
「プラネ旅ウム オーストラリアの星と物語」