今月の星空(2025年2月)

 浜松科学館では、浜松市天文台と共同で毎月の星空をお届けする1枚冊子「星空案内」を発行しています。本ブログで、その内容を一部公開いたします。

天文台からのコメント:2月3日は、立春です。暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続きます。星を見るのは、やっぱり冬がいいですか?と質問をいただくことがあります。その季節ごとの星を楽しめるのでいつでもおすすめですと言いつつ、冬のよさを付け加えることにしています。1)冬は晴れる日が多い。2)空気が乾燥していて透明度が高い。3)明るい星が多く見ごたえがある。マイナス面は寒さです。気温の低下に加え、遠州のからっ風が吹き付けます。星空を見るときは、いつものお出かけよりも1、2枚多く着込むことをおすすめします。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト

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2月の星空案内

2025年2月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ

オリオン座のまん中、3つ並んだ星に注目してみましょう。「オリオンの三つ星」または、「オリオンのベルト」と呼ばれています。星座絵を描いたとき、ちょうど狩人オリオンのベルトになるんですね。
オリオンの三つ星は星を探すのに便利です。三つ星に沿って東の方に目線を移していくと、おおいぬ座のシリウスが見つかります。西の方に目線を移していくと、おうし座のアルデバランを見つけられます。
そうして見つけた冬の星座の1等星たちを繋いでみましょう。オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスをつなぐと、大きな六角形-冬のダイヤモンドが作れます。今年はダイヤモンドの近くに、木星と火星が輝いています。

星を見ていると、色や明るさの違いがわかります。きっと宝石箱を見ているようで楽しくなりますよ。

りゅうこつ座

りゅうこつ座の星座絵。竜骨とは、船の一番下にある大きな骨組みのこと。りゅうこつ座は、神話に登場する大きな帆船「アルゴ船」の竜骨を描いたもの。

 昔「アルゴ船座」という船の星座が存在しました。トレミーの48星座の1つにも数えられていました。後に、ほ座、らしんばん座、とも座、りゅうこつ座の4つに分けられ現在に至ります。「りゅうこつ」は竜骨:船の骨組みです。
 「アルゴ船座」にはこんな物語があります。コルキスの国の宝物となっている金毛の羊(おひつじ座)の毛皮を取り戻すため、イオルコスの王子イアソンは旅に出かけます。その旅のために作られた船がアルゴ号です。イアソン王子はギリシア中の勇者たちに呼びかけ、50人の名だたる英雄たちが集まりました。その中には、後にふたご座となったカストルとポルックス、ヘルクレス座となったヘラクレス、こと座の物語の主人公、竪琴の名手オルフェウスも含まれていました。この旅は様々な困難をともなう冒険になりました。最大の難所はシュムプレガデスの岩を通り抜けることでした。この岩は、常に霧に包まれたボスポラス海峡の入口にあり、船が通ろうとすると両側の岩が閉じて船を砕くというものでした。イアソンたちは、途中で助けたピーネウスから授かった知恵を使いました。岩の手前で1羽の鳩を飛ばし、鳩を挟もうと閉じた岩が再び開いた瞬間に全速力で船をこいで岩の間を見事に通過したのです。ついにたどり着いたコルキスでは、現地の王女メディアの助言もあり、毛皮を取り戻し、国に帰ったということです。無事に帰りついたイアソンはアルゴ船を海の神様ポセイドンに捧げました。後にポセイドンがこれを星座にしたと言われています。
 りゅうこつ座は、その星座名よりも主星「カノープス」の方がよく知られています。カノープスについてはpdf版から「今月の見どころ星どころ」をご覧ください。

<参考> 全天星座百科(藤井旭;河出書房新社)

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星と星をつないで・・・

 今月20時頃には、南の空に冬の星座が見られます。オリオン座は、覚えやすい星の並びです。一列に並んだ3つの星を見つけたら、その周りを囲むように四角形が作れます。
 紙面裏側「星空クイズ」欄の挿絵をご覧ください。みなさんは、オリオン座の星並びを見て、何のかたちを想像しますか?昔の人は、狩りをする人オリオンの姿を描きました。オリオンの右肩にはベテルギウスが、左足にはリゲルが輝いています。一列に並ぶ三つ星は、腰のベルトです。オリオンは両手を挙げているのですが、両手をつくる星は暗い星なので街中で見つけるのは難しいです。明るい星だけつないで、リボンや蝶々、砂時計などを思い浮かべる方も少なくはないでしょう。
 実は、星座の絵には決まりはありません。星と星のつなぎ方も決まっていません。決まっているのは、場所と名前です。少し不思議に感じるかもしれませんね。さそり座を例にしてみましょう(図1)。星をつないで、ヨーロッパの昔の人はサソリを、ニュージーランドの昔の人は釣り針を描きました。

さそり座の星をつなぐとどんな形?ヨーロッパの人はさそり、ニュージーランドの人は釣り針を考えた。同じ形でも、国や地域によって伝わっていた星座は違った。

しかし、あまり自由に星座を作ってしまっては、同じ星座のことを話していても通じません。そこで、1928年国際天文学連合は、星座を88個に整理しました。国際天文学連合が決めた星座は、空を区切った領域のことで、それぞれ名前も決めています(図2)。一方で、星のつなぎ方や星座の絵は決まっていません。

国際天文学連合が決めた星座は空を区切る住所のようなもの。星をつないだものではない。
画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ

ですから、領域の中で自由に星をつないでも、どんな絵を描いても良いのです。
 当館では、冬休み期間中、来館された方々に、オリオン座の星をつないで自分だけの星座を描いてもらいました。上記で挙げたリボンや蝶々、砂時計だけでなく、うさぎ、ぞうきん、首飾り、ビール、サイコロ、雪だるま、魚、虫、アルファベット…など、ユニークで素敵な星座たちがたくさん集まりました。今月末まで当館3階ホワイエに掲示しています。みなさまのアイデア溢れる絵を見に、ぜひお越しください。

浜松科学館で投映中の番組

  • まわる星と、かわる季節

    プラネタリウム
    「まわる星と、かわる季節」
  • キッズプラネタリウム
    「きらきら☆こんやのおほしさま」
  • すみっコぐらし

    大型映像
    「すみっコぐらし ひろい宇宙とオーロラのひかり」
  • まわる星と、かわる季節

    プラネタリウム
    「星空マルシェ」
  • 【月1回・大人限定】夜の科学館 特別投映「神の恋は星の数ほど」

    【月1回・大人限定】
    夜の科学館 特別投映
    「神の恋は星の数ほど」

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