天文台からのコメント:いよいよ冬がやってきました。木星が衝を向かえ、見ごろとなります。おうし座の角の辺りに明るく光る星が木星です。光度-2.8等ですから、どの1等星よりも明るく見えます。8日には土星が月に隠れる土星食があります。14日にはふたご座流星群が極大となります。どれもわくわくしますね。冬の夜は寒いですが、どれも見る価値あり!です。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
12月の星空案内
2024年12月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
12月に入って、日没がかなり早くなっています。浜松では16時40分ごろに日が沈みます。21日が冬至です。1年で1番夜が長くなる日です。
日が沈むのが早いと、星空を楽しめる時間も長くなります。また、冬の星空には街の中からでもよく見える明るい星が多いので、星を探しやすい季節になっています。
日が沈むころ西の空で金星を見送ると、南の空では土星、東の空では木星・火星も明るく光っています。土星はみずがめ座の近く、木星はおうし座の近く、火星はふたご座の近くにあります。
また、中旬にはふたご座流星群があります。13日の夜から14日の夜明け前がよい条件になります。その前後数日の夜は流れ星が見つけやすいかもしれません。
ただ、冬の夜はとにかく寒いです。厚着にカイロなど、寒さ対策を万全にして流れ星を探しましょう。
くじら座
くじら座は全天で4番目という大きさのわりに明るい星が少なく、ちょっとたどりにくいかもしれません。ペガススの四辺形の東側(左側)の2つの星を南北につないで南へ延長します。するとぽつんと輝くオレンジ色の2等星にぶつかります。このオレンジの恒星はディフダ(別名:デネブ・カイトス)と呼ばれていて、くじらのしっぽの部分に位置します。「デネブ」という名称はどこかで聞いたことがあるでしょう。夏の大三角を作る星は、はくちょう座の「デネブ」です。恒星の名前に「デネブ」とついている場合は尾(しっぽ)を表します。この場合「くじらのしっぽ」という意味です。
ディフダの東側、くじらの心臓の辺りにあるのがミラです。明るさを変える「変光星」として有名な天体です。ミラは「ふしぎなもの」という意味を持つ恒星で、およそ332日の周期で膨張・収縮を規則的に繰り返し、2等星から10等星まで明るさが変わります。あるときには肉眼ではっきり見えるのに、またあるときにはまったく見えないのです。ミラがこのように大きく変更するのは年老いて太陽の570倍にも大きく膨らんだ赤色超巨星のミラ自身が大きくなったり、小さくなったり不安定に脈動するからです。
見つけるには、前述のディフダとおうし座のアルデバランの真ん中あたりを探します。今年もっとも明るくなったのは5月で、残念ながら今は最も暗い頃になりますので、肉眼では見つけられないと思います。次に明るくなるのは来年の4月ですが、太陽に近く観望には適しません。
<参考> 全天星座百科(藤井旭;河出書房新社)
宇宙大掃除 ~スペースデブリ~
年末の大掃除の時期になりました。身の回りがきれいになると気分もすっきりしますよね。さて、私たちが生活しているとゴミが発生します。そのままにしておくと、ゴミがあふれかえって環境が悪くなります。ここで、地球の外に目を向けてみましょう。実は、地球の周りの宇宙空間にもゴミがたくさんあるのです。これを、宇宙ゴミという意味で「スペースデブリ」と言います。ゴミの正体は、宇宙に打ち上げられたロケットや人工衛星の残骸です。稀に残骸同士が衝突すると、細かい破片に割れて、さらに残骸が増えていきます。そして、運用中の人工衛星や、国際宇宙ステーション、宇宙船に衝突することもあるのです。
ここでおさえておきたいのは、宇宙ゴミは猛スピードで動いていることです。その速さは、秒速7km~8kmです。ピストルの弾丸の速さは秒速数百メートルから1kmですから、宇宙ゴミは弾丸の10倍近い速さとなります。過去には、実際に宇宙ゴミと人工衛星の衝突事故が起こっています。こんなことを聞くと、宇宙が怖く感じてしまいますね。そして今後もっと多くの人工物が宇宙に送り込まれ、宇宙ゴミはさらに増えていくでしょう。このままでは、地球の周りはゴミだらけになってしまう…。そこで、宇宙ゴミを掃除する取り組みが計画されています。その一つは、宇宙ゴミ専用の人工衛星を打ち上げ、宇宙ゴミを捕獲するという計画です。宇宙ゴミに接近し、ロボットアームでつかんだり、磁力で引きつけて捕獲したりします。捕獲した宇宙ゴミは大気圏で燃え尽きる軌道に入るように切り離され処理されます。現時点では試験衛星が宇宙ゴミと並走し、宇宙ゴミがどれくらいの速さでどんな動きをしているのかを調査している段階です。宇宙大掃除作戦が着々と進んでいます。