今月の星空(2024年11月)

 浜松科学館では、浜松市天文台と共同で毎月の星空をお届けする1枚冊子「星空案内」を発行しています。本ブログで、その内容を一部公開いたします。

天文台からのコメント:秋の四辺形が天頂あたりに見られるようになりました。東の空にはおうし座やぎょしゃ座といった冬の星座も見られます。季節の変化を感じますね。山の木々も色づき、秋の装いです。紅葉、黄葉、常緑樹が混ざっているのもきれいです。星は表面の温度の違いで色が変わります。青い星は温度が高く、赤い星は温度が低い。望遠鏡で見ると色の違いがよくわかりますよ。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト

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11月の星空案内

2024年11月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ

 11月になっていよいよ秋本番。星空でも秋の星座たちが空高く昇っています。目印は秋の四辺形。ペガスス座の胴体の部分です。そこから南には土星があります。土星を飛び越えてさらに南の方へ目線を落とすと、みなみのうお座のフォーマルハウトが見つかります。通常はこのフォーマルハウトが秋の夜空で唯一の一等星。フォーマルハウトには「秋の一つ星」なんて異名も付いています。ですが、今年は土星の方がいくらか明るいでしょうか。今年はフォーマルハウトと土星で「秋の二つ星」ですね。
 ペガスス座にある秋の四辺形まで戻って、アンドロメダ座やペルセウス座、くじら座、さらにケフェウス座やカシオペヤ座まで見つけると、星座に伝わる神話の物語を想像できます。国を守るため自らを生贄にささげようとしたアンドロメダ姫とそれを襲わんとする化けくじら。そこに颯爽と現れる天馬ペガサスと勇者ペルセウスの姿。物語を思い浮かべながら星を辿っていくのが秋の星空の醍醐味です。

みずがめ座

みずがめ座

 みずがめ座は、ペガサスのたてがみから南へと広がり、秋の1等星フォーマルハウト(みなみのうお座)まで続く比較的大きな星座です。
 秋の星座は明るい星が少ないため、おとなしく感じますが、ペガスの四辺形(秋の四辺形)やカシオペヤのM字形など、意外とわかりやすい星の並びがあります。一方みずがめ座はその姿を思い描くのに、市街地では少々苦労します。それもそのはず、一番明るい星は3つしかない3等星。大きな星座にもかかわらず暗い星ばかりです。ですから、ペガススの四辺形やフォーマルハウトを基準に位置を探るのがいいでしょう。その中でもわかりやすい目印が一番北に位置するYの字形、通称「三ツ矢」マークです。これが瓶(かめ)の部分です。
 みずがめ座はガニメデスという美しい男性(少年)を描いています。みずがめ座にはこんな物語があります。ガニメデスは、トロイアの羊飼いでした。大神ゼウスは、ガニメデスの美しさを気に入り、目をつけていました。そんなとき、オリンポスの宮殿で神々が酒宴をする際にお酒のお酌をする役目をしていたゼウスの娘、ヘーベがヘルクレスと結婚することになりました。ヘーベに代わってお酌をする役目が必要になり、ゼウスは鷲の姿に化けてガニメデスをさらってきました。天上にたどり着いたガニメデスは鷲がゼウスと知り大変驚きました。ガニメデスは、ゼウスに気に入られ、神々にお酒を配る役を命ぜられるのです。ガニメデスはその代わりに永遠の命と美しさを与えられました。下界にすむ両親を心配したガニメデスはそれをゼウスに伝えると、ゼウスは両親に伝令の神を送り、息子の無事とこれからについて伝えました。そして、両親が悲しまないようにとガニメデスの姿を星座にしたということです。
<参考> 全天星座百科(藤井旭;河出書房新社)

くらべてみよう!木星と土星

 11月の夜空にはいくつかの惑星が見えます。中でも目を引くのが、20時ごろ東の空で輝く木星と南の空で輝く土星です。この二つの惑星は、惑星の中でもよく似た特徴があります。それは、星のほぼ全体が水素やヘリウムでできているということです。さらにその水素やヘリウムはほとんどが気体(ガス)の状態で存在しているため、この2つの惑星は「ガス惑星」と呼ばれています。ここで、いくつかの視点からこの二つのガス惑星を比較してみましょう。
 まずは見た目を比べてみましょう。木星は茶色と白のはっきりとした縞模様が特徴です。これは木星の表面を覆う雲の様子が見えたものです。木星の大気には横向きの強い風が吹いているため、この縞模様ができると考えられています。しばしば大きな目玉のような模様が見られることがあります。これは「大赤斑(だいせきはん)」と呼ばれ、風が渦を巻いてできた模様だとされています。それに対して、土星の表面の縞模様はかすんで見えます。木星と同じように土星の雲が見えたものですが、土星の雲は木星よりも厚いこと、また大気にアンモニアがわずかに含まれることが理由で、模様をぼやけていると考えられています。
 次に惑星の周りに浮かぶ輪っかを比べてみましょう。土星にはくっきりとした輪っかがついています。土星の輪っかは小さな粒子が数えきれないほどずらっと並んでできています。そのほとんどが氷の粒子で、わずかに岩石の粒子も含まれます。これに対して木星の輪っかはかなり淡く、ほとんど見えません。見えませんが、存在していることがわかっています。1979年に木星に接近した宇宙探査機ボイジャー1号によって発見されました。地上からの観測は難しく、かなり大きく性能の良い望遠鏡が必要です。
 似たもの同士に見えて、ちょっと違う。人間と同じように、惑星たちにも個性があるんですね。ぜひ土星と木星を見比べてみてくださいね。

木星の写真
土星の写真

浜松科学館で投映中の番組

  • 月がきれいな夜に話したい3つののこと

    プラネタリウム
    「月がきれいな夜に話したい3つのこと」
  • キッズプラネタリウム
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    「すみっコぐらし ひろい宇宙とオーロラのひかり」
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  • 【月1回・大人限定】夜の科学館 特別投映「星空のもとでファッションショー??」

    【月1回・大人限定】
    夜の科学館 特別投映
    「星空のもとでファッションショー??」

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