天文台からのコメント:年初めのころから夕方の西の空で輝いている宵の明星(金星)は、7月7日に最大光度になります。-4.7等ですから、シリウス(-1.5等)の16倍以上の明るさです。8月12日には内合となって夕方の空から明け方の空に舞台を変えることになります。宵の明星の輝きを楽しみましょう。(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
7月の星空案内:夏の大三角をさがしてみて
2023年7月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
7月に入ると夏の星座が見やすくなってきました。
まずは、南東の空に有名な「夏の大三角(大三角形)」を探してみましょう。明るい3つの星を結んでできる大きな三角形です。
3つの中で一番明るい星が「こと座」のベガ、織姫星です。残りの2つを比べて空の低い位置に見えているのが「わし座」のアルタイル、彦星です。最後の1つが「はくちょう座」のデネブです。浜松でも簡単に見つけることができるとても明るい星たちですので、ぜひ実際の星空で探してみてください。
今月の星座:ヘルクレス座
12の無理難題を成し遂げたことで、ヘルクレスの名が知れ渡ることになったのですが、この冒険に行ったのにはわけがあります。
女神ヘラの呪いにかかったヘルクレスは錯乱して妻と子どもを殺してしまったというのです。その償いに、当時のアルゴス王エウリステウスに命じられたのが、この冒険です。ヘラがヘルクレスを呪ったのには理由があるのですが…。とにかく波瀾万丈の人生を送ったヘルクレス。ヘルクレスの頭の位置に輝くのは、この星座いちばんの輝きのα星「ラス・アルゲティ」(ひざまずく者)です。太陽の800倍もある大きな星ですが、明るさが3等になったり、4等になったりしている赤い星です。
(文:浜松市天文台)
一期一会のマジック
昨日の夕方の空はどんな色でしたか?
夕立の多いこの時期は、まるで水彩絵の具を混ぜたかのような美しい夕焼けが見られます。
日の入だけでなく、日の出の時間帯にもきれいなグラデーションの空を見ることができます。俗に「マジックアワー」と呼ばれる現象です。これは、太陽が地平線のすぐ近くにあり、大気中に水蒸気が多く含まれている時に見られます。太陽光を構成する光のうち、青い光は波長が短く、赤い光は波長が長くなります。波長の短い青い光は、私たちの目に届く前に大気中に散乱してしまいますが、波長の長い赤い光は散乱しにくいため、大気の中を時間をかけて通過し、赤い朝焼けや夕焼けとして見ることができます。また、雲が多いと雲の中に含まれる水滴がその光を散乱させ、いつもより赤く空を染めます。
そのため、マジックアワーの色は太陽の位置や空気中の水蒸気量などによって毎回異なり、二度と同じ色合いの空を見ることはできません。
ちなみに、マジックアワーは「ゴールデンアワー」と「ブルーアワー」に分けて呼ばれることがあります。ゴールデンアワーは日の出後・日の入前のおよそ30分間、太陽の高さが6度~0度のときに見られるものを指し、ブルーアワーは日の出前・日の入後のおよそ30分間、太陽高度が0度~-6度の時に見られる現象を指すことが多いです。その名の通り、ゴールデンアワーは赤やオレンジ、ゴールドに輝くような暖色系の空に。ブルーアワーは紫や藍色をした寒色系の深みのある空になります。
雨の日は星を見ることはできませんが、雨上がりには美しい一期一会の空に出会えることがあります。
きれいな夕焼け空に一番星が輝いて見えるかもしれませんよ。
参考:
・『世界でいちばん素敵な雲の教室』荒木健太郎(三才ブックス)
・『きょう出会う空』眞家 泉(ジャムハウス)
・PHOTOGRAFAN https://www.photografan.com/