新緑がまぶしい季節になりました。
5月の浜松といえば、4年ぶりに市街地に屋台が集まる「浜松まつり」に注目している方も多いかと思います。
夜にはどんな星空が見えるでしょうか。
5月の星空案内:春の大三角を探してみよう
2023年5月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています
今月は先月とは違う方法で、春の星座を見つけてみましょう。
先月は「春の大曲線」を使って「うしかい座のアルクトゥルス」と「おとめ座のスピカ」という2つの一等星を見つけましたが、一等星は明るいので、すぐに見つかります。
そこで、もう1つ星を結んで三角形を作りましょう。「春の大三角」です。
少し暗い二等星ですが、「デネボラ」という星があります。「デネボラ」とは「獅子のしっぽ」という意味があり、「しし座」のしっぽで輝いている星です。「うしかい座のアルクトゥルス」と「おとめ座のスピカ」、そして「しし座のデネボラ」を結ぶと「春の大三角」ができます。
これを見つけると「うしかい座」「おとめ座」「しし座」を見つけたことになります。
「夏の大三角」「冬の大三角」ほど有名ではありませんが、実際の空で「春の大三角」を探してみてください。
今月の星座:おとめ座
豊穣の女神「デーメーテール」の姿だと言われています。
「デーメーテール」には「ペルセポネー」という娘がいました。「ペルセポネー」に恋をしたのが死者の国の王である「ハデス」です。「ハデス」は「ペルセポネー」を死者の国へ連れ去らってしまいました。悲しんだ「デーメーテール」は姿を隠してしまいました。
豊穣の女神がいなくなった世界では作物が実らず、人々は困ってしまいました。
そこで、大神ゼウスは「ハデス」に「ペルセポネー」を「デーメーテール」のもとに返すように命令します。ところが、「ペルセポネー」は死者の国のザクロの実を4粒食べてしまっていました。死者の国の食べ物を食べた者は、死者の国で暮らさなければならないという決まりがありました。そのため、「ペルセポネー」は1年のうち4ヶ月だけは死者の国で暮らさなければならなくなりました。「ペルセポネー」がいなくなる間は「デーメーテール」の悲しみで作物が実らなくなりました。こうして冬が生まれたという物語があります。
(文:浜松科学館 天文チーム)
エメラルドも宇宙から
夜、空を眺めると星々が瞬いていますね。その輝きは、時に宝石の輝きのようにも見えます。
5月の誕生石はエメラルドです(日本ではヒスイも指定)。エメラルドは、ダイヤモンド・ルビー・サファイアと並び、世界四大宝石にも数えられており、その名前はサンスクリット語の“緑の石”が由来とされています。エメラルドの組成式はBe3Al2Si6O 18です。つまり、主にベリリウム(Be)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)で構成されています。そこにクロム(Cr)やバナジウム(V)といった金属が混ざることで、美しいグリーンの輝きを放っているのです。
エメラルドは、古代エジプトの女王クレオパトラが愛した宝石としても知られ、自身の名を冠したエメラルド鉱山を持っていたほどです。
クレオパトラの名前は鉱山にとどまらず、小惑星にも付けられています。1880年に発見され、太陽の周りを4.7年周期で回っている小惑星です。クレオパトラは、鉄(Fe)とニッケル(Ni)でできているM型小惑星で、火星と木星の間に存在する小惑星帯にあります。M型というのはメタルの頭文字を意味します。
クレオパトラはもともと細長い楕円体をした小惑星だと考えられていましたが、レーダー信号による観測結果で、ダンベル状もしくは2つの塊が組み合わさった犬の骨のような形状をしていることがわかりました。これは、2つの小惑星がゆっくりと衝突したことで互いを粉砕せずに固まったと考えられるか、あるいは衝突を繰り返すうちにマントルや地殻が吹き飛ばされ、金属質の中心核だけが残り形成されたと考えられています。
宇宙に浮かぶクレオパトラは元より、エメラルドもなかなか手に取ることはできませんが、どちらも宇宙が作り出した興味深い産物です。