暑い毎日、いかがお過ごしでしょうか。
昼間に比べて過ごしやすくなる夜には、ぜひ星空を眺めて過ごしてみてください。
8月の星空案内をお届けします。
8月の星空案内:夏の大三角が頭の真上に
2022年8月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています
夕陽が沈んで薄明が終わるころ、夏の大三角が見え始めます。
8月の夏の大三角は頭の真上、天頂付近にありますので、思い切り顔を上に向けて探しましょう。ご自宅の庭やキャンプ場など安全な場所で寝転んで見るのがおすすめです。暗い場所では天の川や流れ星も見られるかもしれませんよ。また、夜9時頃になると、土星が南東の空に昇ってきます。少し黄みがかった輝きは低い空でとても目立ちます。
今月の星座:こと座・わし座
わし座は大神ゼウスが、トロイアの美少年ガニメデスを連れ去るために変身した姿と言われています。わし座の一等星「アルタイル」は「飛ぶワシ」という意味があります。
わし座β星(ベータ)・アルタイル・γ星(ガンマ)の3つの星を結ぶと、翼を広げて飛んでいるワシに見えることが由来しています。日本では「ひこ星」と呼びます。
「おりひめ星」と「ひこ星」、「落ちるワシ」と「飛ぶワシ」というふうに人々はペアの星としてとらえていたことが分かりますね。
(文:浜松科学館 天文チーム)
流れ星が光るしくみ
8月は三大流星群のひとつ、ペルセウス座流星群の時期です。みなさんは、流れ星が光る理由を知っていますか?
流れ星の元となるのは、宇宙に浮かぶ小さな塵です。地球の重力によって引きつけられた塵が大気に飛び込んできます。その時、大気と激しく衝突して光るのです。流れ星の元となる塵は秒速数十kmという猛スピードで大気に突入します。下で図解しているように、大気は塵の落下方向に急激に押し縮められていくことが分かります。これを断熱圧縮と言います。身近なものでは、自転車のタイヤに空気を入れてパンパンにするとタイヤが温まっている現象が挙げられます。
このように狭い空間に空気が一気に押し込められると数千度の高温になります。すると大気や塵を構成する分子が加熱され、分子がバラバラになり、電子や原子核だけで動き回る状態・プラズマになります。この状態はとても不安定なため、再び電子と原子核が結び付き、安定した状態に戻ろうとします。不安定な状態から安定な状態に戻るとき、光を発します。これが塵の落下方向に沿って連続的に起こり、塵が壊れてなくなるまで続きます。この光が流れ星の光なのです。
流れ星が光るのは高度約100km~80kmの間です。それより高いと大気を構成する分子が非常に少ないため、塵と衝突する機会がありません。逆に低くなると、大気が濃くなります。その分衝突する大気の衝撃も大きくなり、塵は減速し壊れていきます。また、流れ星の光に色がついて見えることがあります。色の違いは分子や原子の種類によるものです。例えば、塵の中に含まれているマグネシウムや大気中の酸素からは緑色の光、大気中の窒素からは赤みがかった光が出ます。ペルセウス座流星群は、塵の落下速度が速く、明るく光る流星が多いのが特徴とされています。色の変化にも気づきやすいかもしれませんね。