お出かけに適した季節になりました。
5月の星空案内をお届けします。
5月の星空案内:1等星アルクトゥルスを見つけてみて
2022年5月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています
南の空にはオレンジ色に輝く1等星アルクトゥルスが見えています。春の空ではこのアルクトゥルスがとても目立ちます。アルクトゥルスから北に目を向けると北斗七星が、みなみに目を向けると青白い星スピカが見つかります。これらを結ぶと、南北を貫く長いカーブ「春の大曲線」ができます。スピカからさらに南西に線を伸ばすと、からす座まで見つけられますよ。
今月の星座:しし座
ギリシャ神話では、この獅子はネメアの谷の人喰いライオンとして恐れられていました。ライオンを退治するためにやってきたのは勇者ヘラクレスです。ヘラクレスはまず矢を放ち仕留めようとしましたが、ライオンの肌は鋼のような硬いうろこにおおわれており、矢が跳ね返ってしまいます。つぎに棍棒(こんぼう)で叩きますが、これも全く効きません。最後にヘラクレスは武器を捨て、素手でライオンの首を三日三晩絞め続けました。そしてようやく退治することができました。
(文:浜松科学館 天文チーム)
“あのブラックホール”はどこにある?
2019年、初めてブラックホールの姿がとらえられ、大きな話題となったことを覚えているでしょうか。現在ブラックホールは宇宙にたくさんあると考えられています。では、実写画像第一号となった、“あのブラックホール”は宇宙のどこにあるのでしょうか。それは、おとめ座にあります。
おとめ座の右肩にあたる領域には「おとめ座銀河団」と呼ばれる大規模な銀河集団があります。その中でもひときわ大きな銀河「M87」は100年も前から研究対象となっていました。M87は楕円銀河という球状の銀河です。中心部からジェットが噴射していたり、強力な電波が出ていたり、これまでにブラックホールの存在を示唆するふるまいが発見されてきたことから、天文学者はここにブラックホールがあるだろうと考えてきました。
ブラックホールは重力が非常に強く、重い天体です。光さえも抜け出すことができないため、直接見ることはできません。ブラックホールの周りの光っているガスをとらえ、そのシルエットを浮かび上がらせることで“そこにある”ことが確認できるのです。また、巨大な銀河の中のブラックホールは非常に小さく見つけることが困難なため、世界各地の電波望遠鏡を組み合わせ、理論上地球サイズの超巨大な望遠鏡を作りました。月面に置いてあるゴルフボールを地球から見分けることができるほどの解像度(人間の視力にすると300万)で、M87の中心部に迫ることができるようになったのです。そして長年の夢だったブラックホールを見える形で撮影することに成功しました。
おとめ座の肩にはブラックホールがある…。そのブラックホールの重さは太陽およそ65億個分。星座の中で一番肩こりがひどいのは、おとめ座かもしれません。