「書く・描く」「画く+測る」「切る+貼る」「刷る」「綴じる」「彩る」の動作に分けて文具を紹介しています。合わせて、それぞれの項目で、浜松周辺で活動されているクリエイターの方々をたずね、使用されている文具や道具について伺いました。
今回は「彩る」…セレクト文具店「森のシロくま堂」 店主・足立 羽美氏です。
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原稿用紙の罫線が描かれた窓、その手前には定規やノート、消しゴム、鉛筆の大きなオブジェ。そんな可愛らしい外観の店に入ると、そこにはサクラクレパス、ジャポニカ学習帳、フエキ糊など誰もが一度は見たであろう文具のパッケージやキャラクターがデザインされた商品がいろいろ。「コレ、懐かしい!」「コレ、おもしろい!」と思わず声をあげてしまいそうだ。
文具を買うためだけに東京や大阪へ出向くほどの〈文具女子〉だった足立さんが店に並べているのは、「私がトキメクもの」「どんなお客様が手に取ってくださるかイメージできるもの」が基準で、その選定は瞬時。カタログを見て、仕入れる商品を決めるのは5秒以内だそう。悩むとすれば色だけで、それも時間がかかると「今じゃない」とスッパリやめるのだ。キャラクターものやシリーズものは生産終了となるスパンが早く、店に並んでいる商品の7割は常に入れ替わっているため、「迷ったら買い!(笑)。ここでは目的があって買うわけではないので、心が動く瞬間を味わってほしいですね」。そうしないと二度と手に入らないかもしれないのだ。
「それに、ひとつお気に入りの文具を持っているだけで、ウキウキするでしょ!?」。文具は生活の中にあふれているからこそ、贈る人を想像し、懐かしい! おもしろい! 何に使うの!? と渡した相手が喜ぶ顔を思い浮かべる。「過去の記憶をさかのぼれるのは文具や駄菓子ならでは。文具を通してコミュニケーションが生まれるといいですね」。
足立さんはしろくまとペコちゃんが好きで、紙が好き。『森のシロくま堂』オリジナルのメモ帳やポストカード、マスキングテープには、森町の特産物とうもろこしと次郎柿を抱えているしろくまのキャラクター。これが、手に渡った誰かの生活を楽しく彩るものになるかもしれない。
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『森のシロくま堂』への来店をきっかけに森町のあちこちを散策してほしいと、手書きの近隣MAPを作成。購入品を入れてくれる袋には、しろくまと「アリガトウ」のスタンプ。
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商品が並べられている棚やケースは手芸糸用のものなどの懐かしい古道具を使用している。棚の奥から引き出しの中まで、すみずみまで見逃さないで!
足立 羽美
袋井市生まれ。 2019年6月森町商工会内に『森のシロくま堂』オープン。
2022年1月からは「森町プロモーション大使」も務めている。
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撮影・取材 下位早織(浜松百撰)
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