満開の桜が見られるのもあと少し。夜桜とともに、星を眺めてみてはいかがでしょうか。
4月の星空案内をお届けします。
4月の星空案内 冬の星座の見ごろもそろそろ終わり
2021年4月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
冬の星座たちがずいぶんと西に傾きました。一等星が多く派手だった冬の空も、見ごろを終えようとしています。東からは、春の星座が続々と見え始めています。しし座のシッポの二等星デネボラ、うしかい座の一等星アルクトゥルス、おとめ座の一等星スピカを結んでできるのが「春の大三角」。北の空には、有名な「北斗七星」も見えています。
今月の星座:コップ座
コップ座の神話には諸説ありますが、その一説に酒神ディオニュソスの杯だというものがあります。
ディオニュソスがアッティカという国を訪れたときに、その国の王様イカリオスはとても丁寧にもてなしました。それに喜ん
だディオニュソスは、お礼に秘伝のお酒の造り方と愛用していた杯を授けました。
その後イカリオス王が亡くなったとき、ディオニュソスは悲しみ、王に贈った杯を星座にしたといわれています。
どんな星座絵が好きですか?
星座は全部で88個。これは、1922年に国際天文学連合(IAU)で採択されたものです。それまでは世界中でいろいろな星座が自由に作られていました。その結果、星空は星座であふれ、国や文化ごとに星座の形や名前がバラバラで人々が混乱することになってしまいました。そこで世界で共通して使える星座を88個にまとめたのです。これに伴い、星座の名称や境界線も確定されています。
対して、星座を表す絵「星座絵」にはIAU公式の絵や、国際的な基準も特にありません。
学術的な天文学書に星座絵が描かれたのは、10世紀ペルシアの天文学者スーフィーの「星座の書」が最初だと言われています。エジプトの天文学者プトレマイオスが書いた天文学書「アルマゲスト」の記述を元に、アラビア風の星座絵が描かれています。
その後、世界中に広く伝わった星座は、基本的な部分は同じでも絵柄は自由に描かれてきました。例えば、16世紀頃イギリスの天文学者フラムスチードが作成した「天球図譜」には、ロココ調の美しい星座絵。江戸時代の日本で作成された「天球十二宮象配賦二十八宿図説」には、西洋画に影響された日本画、という感じの独特な絵柄の星座絵が描かれています。
皆さんもオリジナルの星座絵を自由に描いてみてはいかがでしょうか。
浜松科学館でも、投映の一部で科学館オリジナルの星座絵を使用しています。天文チームスタッフが描いた、なんとも言えない味のある星座絵グッズも好評販売中!ミュージアムショップでぜひお手に取ってみてくださいね。
「星座の書」のおひつじ座(ボドリアン図書館所蔵)
「天球十二宮象配賦二十八宿図説」のおひつじ座(国立国会図書館所蔵)
浜松科学館プラネタリウムのおひつじ座