皆さん、こんにちは。
浜松科学館の生き物博士、小粥です。
3月6日(土)に「15分で自然観察」を開催しました。
テーマは「花粉から見る植物たちの生存戦略!」です。
そもそも花粉とは、植物が繁殖のために雄しべから雌しべへ届けるカプセルです。
雄しべで作った花粉が雌しべに付く(受粉する)ことで、種子が出来ます。
花粉症で辛くなりがちな今の季節だからこそ、犯人の花粉をじっくりと観察してみましょう。
今回は観察用にタンポポとスギの花を用意しました。
タンポポは昆虫に花粉を運んでもらいます。
一方のスギは風で花粉を飛ばします。
花から花へ。
花粉の運び方によって、花粉本体に違いはあるのでしょうか?
まずはタンポポの花粉の観察。
一輪のタンポポの花から花弁を1枚とってみると…
下の写真のように花弁と雄しべ、雌しべが1セットになっていることが分かります。
実はこの1セットが1つの花で、私たちが普段見ているタンポポの花はたくさんの花の集合体なのです。
1枚の花弁のプレパラートを作り、顕微鏡でのぞいてみると…
雄しべから飛び出す花粉、雌しべにつく花粉が観察されました。
花粉は丸く、縁はもこもこした形。
次はスギの花粉の観察。
葯(やく)という花粉が詰まったカプセルをスライドガラスの上で花粉を水に溶かしながら潰します。
カバーガラスをかぶせて、顕微鏡でのぞいてみると…
わぉ!数えきれないほどの花粉です。あまりの数に、参加者からも驚きの声が上がりました。
花粉は丸く単純な形をしています。
※集合体恐怖症の方は、ご注意ください。
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タンポポは虫に確実に花粉を運んでもらうので、花粉の量は少しだけ。
その代わり、虫の体にくっつきやすい複雑な形の花粉を作ります。
スギは風に花粉を飛ばすので単純な形をしています。
その代わり、風の吹く方向は運まかせ。
大量に花粉を作って、受粉する確率を少しでも上げようと頑張ります。
そして、花粉症の原因になるのはスギのように花粉を大気中へ大量に散布する植物の花粉です。
今回は顕微鏡観察をとおして、花粉の運搬方法によって花粉の形や量が変わることが分かりました。
私たちにとってちょっと迷惑な花粉にも、植物たちの生き残るための戦略が隠されていました。