天文台からのコメント:あけましておめでとうございます。初日の出はご覧になりましたか。日本では昔から初日の出と共に年神様が現れると信じられていました。初日の出を拝むことで、その年の豊作や幸福を祈願したとのことです。この習慣は明治時代に全国に広まっていったようです。寒い中、日の出を待つ体は冷えきってきます。太陽が昇ってくると、日に照らされて体が温かくなり、太陽からエネルギーをもらって力がみなぎり、「今年もがんばろう!」と思えますね。今年は太陽活動の極大期になります。大きな黒点が見られるでしょうか。今年もよろしくお願いいたします。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
1月の星空案内
2025年1月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ
いよいよ冬本番。とはいえ、夜空にはまだ秋の星座も見えています。西の空に見えるのは秋の四辺形。ペガスス座の体の部分です。秋の四辺形から東の空に向かって、アンドロメダ座、ペルセウス座。秋の四辺形から南の空にはくじら座が見えています。化けくじらに襲われるアンドロメダ、そして助けに来たペガサスとペルセウス。秋の星座の物語はまだまだ楽しめそうです。
一方、西の空では冬の星座が登場してきます。星座の代表オリオン座。プレアデス星団(すばる)を肩に乗せたおうし座。全天で最も明るい恒星のシリウスをもつ、おおいぬ座。シリウスと明るさを競い合うように木星も明るく輝きます。
秋の星座と冬の星座を見比べてみると、冬の星座の方が明るい星が多く、とてもきらびやかな印象です。今年は木星と火星もその中に花を添えています。
エリダヌス座
太陽神アポロンの息子ファエトンは、友達への自慢話のタネにしようと、父にねだって太陽の馬車を無理やり借り出し、空へとかけのぼりました。ところが馬車を引く4頭の天馬たちは、いつもと乗り手がちがうのに気付いて勝手気ままに走り出してしまいました。太陽の馬車が天から駆け下りてきた地上では火山が噴き出し、暑い砂漠ができ、雲は真っ赤に焼けただれました。これを見たゼウスはあわてて雷電の矢を放って太陽の馬車を打ち砕きました。そして、ファエトンはエリダヌス川に落ちていったのでした。
<参考> 全天星座百科(藤井旭;河出書房新社)
今年は巳年!へびの星座は?
2025年は巳年(みどし、へびどし)です。「巳」は草木の成長が極限に達して、次の生命が宿され始める時期とされています。※干支はもともと農業の時節を表す言葉でした。それをわかりやすく覚えるために動物があてられたのです。「巳」には「へび」があてられていますね。へびは、よく神話に登場してくる生き物で、星座にもなっています。みなさんはへびの星座がいくつあるか知っていますか?
・・・答えは3つです!順番にご紹介しましょう。
一つ目は、うみへび座です。春の空で見られ、88個ある星座の中で最も大きいです。ギリシャ神話で登場する怪物ヒドラがモデルになっており、勇者ヘラクレスに退治されました。ヒドラの首の一つが星座として描かれたものです。
二つ目は、へび座です。夏の空で見られ、星座の中で唯一2つの領域に分けられています。夜空では、西から順にへびの頭・へびつかい座・へびのしっぽという順番で並んでいます。へびつかい座は、医者の神(医神)アスクレピオスがモデルです。へびは脱皮をすることから不老不死や永遠の象徴と捉えられ、命を扱う医神とともに描かれています。
三つ目は、みずへび座です。こちらは南半球の空にあるため、日本からはほぼ見えません。また星座の中では新しく作られたもので、神話はなく、名前の通り水中に暮らすへびを描いています。北半球のうみへび座に対して、こうみへび座と呼ばれたこともありました。
このように、星座の中には同じ生き物で複数の星座が描かれることがあります。イヌの星座だと、おおいぬ座、こいぬ座、りょうけん座。クマの星座だとおおぐま座、こぐま座。などなど・・・。へび年の今年(2025年)は夜空のへびを探してみましょう。