表紙の1枚(vol.24):月をみよう

浜松科学館ニューズレター「COMPASS」。
第24号の表紙は科学館の屋外から、望遠鏡を使用して空を眺める天文チームの伊藤さんです。

秋はお月見の季節ですね。日本でも、古くから月に親しむ風習があります。旧暦8月15日の「中秋の名月」、旧暦9月13日の「十三夜」、旧暦10月10日の「十日夜」など、特に月が美しく見えるとされる日に名称がつけられ、和歌などにも月の歌が多く残されています。満月、三日月、新月…など、さまざまな姿が見られるところも魅力ではないでしょうか。

「人が生まれて初めて認識する星の筆頭として挙げられるのが〈月〉かもしれません。古くから人は、月を見て生活してきました。一定周期で形が変化する(満ち欠けする)ことが発見され、そこから暦(旧暦)がつくられました。農耕の時期を知るためにも役立てていたようです。」

「科学的な目線で見てみるとどうでしょうか。学校で習ったことがあるかもしれませんが、月の満ち欠けがおこるのは地球の周りを月がまわっている(公転している)ためです。太陽の光が当たる部分がどれだけ地球に向くかによって、月の形が変わって見えます。」

月の満ち欠けの解説図

「9月18日からはじまるプラネタリウム〈月がきれいな夜に話したい3つのこと〉は、私が番組の企画制作を担当しました。秋に月がきれいに見えるのはなぜだと思いますか?そんなことを含め、月にまつわる3つの話題を紹介します。その日の夜に月を眺めることがより楽しみになれば嬉しいです。」

「私は趣味で星の写真の撮影に出向いたりもしています。番組の中では、3年ほど前に市内の公園で撮影した風景の写真も登場しますよ。浜松は東の空が平坦なので、比較的月の出が見えやすいところが特徴的だと思います。」

また、浜松科学館では過去に、望遠鏡を使用した月の観望会も行ったことがあります。

「2021年の夜の科学館で、高校生以上限定の観望会を開催しました。望遠鏡を通して月を見ると、クレーターなど、その凹凸がはっきりと分かります。〈今、宇宙をのぞいている〉と感じられるところがとても面白いと思います。月はよく見る星なので、もしかしたら大昔は、月が地球の中にあると思われていたかもしれません。でもそうではなくて、地球とは全く別の遠いところ(宇宙)に存在している…ということにワクワクしますね。」

望遠鏡から見た月

「11月には館を飛び出して、浜松市天文台との共催で、まちなかで観望会を行います。中心地は星が見えないと思う人も多いかもしれませんが、明るい星は観察することができますよ。簡単な解説もその場で行います。ぜひ気軽にきて、宇宙を感じてみてください。」