日中も過ごしやすく、夜はお月見に適した季節になりました。
10月の星空案内をお届けします。
10月の星空案内:後の月(十三夜)に注目
2021年10月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています
秋はお月見の季節です。月見と言えば、中秋の名月(十五夜)ですが、そのおよそ1ヵ月後に見られる月を後の月(十三夜)と呼びます。旧暦で9月13日の月のことで、今年は10月18日にあたります。この頃には台風が過ぎ去り秋晴れが続くため、十五夜の次に美しいと言われます。また、収穫物への感謝の意味も込められており、この時期に実る栗や豆から、「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。
今月の星座 とかげ座
暗い星たちからなるため、探しがいのある星座です。当初ヘヴェリウスはギザギザとした星の並びを見て、トカゲにしようかイモリにしようか悩んだそうです。
(文:浜松科学館 天文チーム)
世界にひとつだけの投映機
浜松科学館3階に展示してあるこの機械(下の写真)、実はものすごく貴重だということをご存じですか?当館の前身である浜松市児童会館で、1962年から1986年まで、実際に使用されていた光学式プラネタリウム投映機「興和プラネタリウムⅠ型」です。
興和光器製作所(現・興和オプトロニクス株式会社)が開発したもので、当館に展示してあるのは2号機。1号機は蒲郡市の三谷プラネタリウムに設置されていましたが、1970年に閉館し、投映機は解体されてしまったようです。興和製の投映機はその2機しか作られておらず、当館で保管する2号機が唯一現存しています。
この投映機は、6等星までの星を約4,000個映し出すことができました。直径45cmの球状の部分が2つあり、北半球と南半球の星空をそれぞれ投映します。月や惑星の投映機は、1つずつ筒状になっており、そこに付いている鏡を動かして手動で位置を調整していました。
現在のプラネタリウム投映機は、事前にプログラミングしておけば、ほぼ自動で動かすことができますが、興和プラネタリウムⅠ型は全て手動で動かしていたようです。当時の操作マニュアルを見ると、コンソール(操作卓)のダイヤルやスイッチをどのタイミングでどのように動かすか、手書きで細かく書かれていることがわかります。
10月からプラネタリウム機器更新工事のため、興和プラネタリウムⅠ型がある3階の一部の展示エリアへの立ち入りができなくなってしまいますが、工事終了後には、新しくなるプラネタリウムとあわせて、この“世界にひとつだけの投映機”もぜひご覧ください。
何卒ご了承ください。