朝晩に秋を感じるようになりましたね。
9月の星空案内をお届けします。
9月の星空案内 今年の「中秋の名月」は満月!
2021年9月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています
この時期は夏の星座が夜空の大部分に輝いていて、まだまだ見ごろとなっています。南の空低い位置に見える木星と土星もかなり明るく目立つので、見つけやすい天体です。
今年の中秋の名月は9月21日で、この日は満月です。中秋の名月が満月なのは当たり前!と思うかもしれませんが、実は違います。中秋の名月は旧暦の8月15日に見える月のことを指します。旧暦は月の満ち欠け(約29.5日周期)を元に日付が決められていたので、毎月15日は満月に近い状態の月になることが多かったのですが、現代の暦は太陽の動きを元にしているため毎月15日が満月とは限りませんし、そもそも旧暦とは日付も大きくずれます。そういったことから、中秋の名月=満月ではないのです。
しかし今年は、中秋の名月の日がちょうど満月の日と重なります。満月の光は明るいので、その他の星を見るには不向きです。
この日は名実ともに月が夜空の主役となります。
今月の星座 こぎつね座
もともとは「ガチョウをくわえたこぎつね座」と呼ばれていましたが、現在では「こぎつね座」とされています。ガチョウの姿は、こぎつねのアゴあたりに輝く単独の星座として一時期扱われていたようです。
(文:浜松科学館 天文チーム)
よりリアリティのある星空へ
プラネタリウムドームの真ん中にある球のような形をした機械は、光学式プラネタリウム投映機と呼ばれます。この機械を使って、夜空に輝く星々をスクリーンに映し出しています。当館に現在設置されているのは「INFINIUM(インフィニウム)S」という投映機です。およそ26万5千個の星々を映し出すことができます。と言われても、あまりイメージできないかもしれません。当館が開館した1986年から2005年まで使用していた先代の投映機「INFINIUM(インフィニウム)21D」は、映し出せる星々の数が1万5千個でした。約20年の間に、技術が大幅に進歩していることがわかりますね。
星の数が増えるとプラネタリウムの投映を観覧する人にとってはどのような違いを感じられるのでしょうか。ひと言で表現するなら、より“実際の”夜空の見え方に近くなります。私たちが肉眼で捉えることのできる1等星から6等星だけでなく、7等星以下の星々の光をも再現することで、プラネタリウムの星空に奥行きが生まれるのです。この技術の進歩によって、街明かりのない真っ暗なところで夜空を見上げたときのような体験を、プラネタリウムでも味わえるようになりました。
どうして今回のコラムで投映機の話題に触れたのかというと、今年の秋から冬にかけて、浜松科学館のプラネタリウムの投映機器の更新工事が行われるためです。
来年3月にお披露目する予定の新しい投映機で映し出せる星々の数は約1億個。先に説明した現行の投映機よりも、さらに一層リアリティが増した夜空を再現できるということで、私たち職員もワクワクしています。現行の投映機「INFINIUM(インフィニウム)S」の星空はあと少しで見納めとなります。ぜひ休止前に投映を目に焼き付けていただけたら嬉しいです。
何卒ご了承ください。